Web 3.0 とは
次世代のウェブの在り方として注目される Web 3.0 。その基本やこれまでのインターネットとの違い、暗号資産(仮想通貨)との関わりなど特徴的なメリットについて説明します。
Web 3.0 の特徴、暗号資産(仮想通貨)との関わりについて基本を解説
最近になってよく目にする「Web 3.0」。これは、次世代のインターネットの形を表した概念ですが、どういったものなのかわからない…という方も多いのではないでしょうか。
ここでは、 Web 3.0 の概念やこれまでのインターネットとの違い、特徴などについて解説していきます。
Web 3.0 とは次世代型の分散型インターネットのこと
Web 3.0は、「ウェブスリー」または「ウェブ・サンテン・ゼロ」と読みます。「ウェブ 3」と表記されることもありますが、どれも意味するところは同じです。
この言葉は、 2014 年、ブロックチェーンをベースにした「分散型オンラインシステム」を指す言葉として、イーサリアム(ETH)の共同創設者、ギャビン・ウッド氏が使ったのが最初だといわれています。
Web 3.0 とこれまでのネットとの違い
インターネットが誕生して今日に至るまでには、いくつもの革新的な変化や進化がありました。ですが、情報の流れとそのコントロールという点で見ると、3つの段階を経ていることが見てとれます。それがよくいわれる、 Web 1.0、Web 2.0、そして Web 3.0 です。それぞれの違いをご説明いたします。
・情報が一方通行だった「Web 1.0」
Web 1.0 は 1969 年に誕生し、1990 年代までのインターネットのことを指します。ネットの商用利用が始まって進化したものの、情報の流れやコミュニケーションは一方通行。サイト主が情報を発信し、ユーザーがそれを受け取るといったように、それぞれの役割が明確に分かれていた時代です。
・双方向コミュニケーションが始まった「Web 2.0」
Web 2.0 は、2000 年代、多くの SNS がサービスを開始した時代のこと。これまで一方通行だった情報の流れが誰でも発信でき、受け取れるという、双方向コミュニケーションが始まりました。
一方で、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に代表されるテック企業が大きく成長。個人情報を含めた膨大な情報が、一部の大手企業に管理されることになり、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクが大きな問題になりました。
・中央集権からの分散化を実現する「Web 3.0」
2010 年代に入ってから注目されてきたのが、 Web 3.0 の概念です。多数の参加者によって分散管理されるブロックチェーンの技術を使うことで、これまでの中央集権的なスタイルを解消することができるのが特徴。情報が分散すれば作業負荷の集中を避けることができますし、参加者全員で情報を共有すれば、システムダウンやデータ消失のリスクも極小化できます。今後も、より安全で安定した Web 3.0 のネット環境の実現が期待されています。
Web 3.0 の特徴
インターネット環境の変遷についてご紹介したところで、あらためて Web 3.0 の特徴をご説明しましょう。いずれも、これまでのネット環境の問題点を解決し、その可能性をさらに広げてくれる要素ばかりです。
中央集権的な管理者がいない
Web 3.0 では、システムを管理しデータを集積する、中央集権的な管理者が存在しません。代わりに、特定のブロックチェーンに参加する多くのユーザーがそれぞれに情報を共有。こうした「分散型」にすることで、管理者がいなくても全体が成立する仕組みを実現しています。
また、暗号資産(仮想通貨)であるイーサリアム(ETH)に代表されるスマートコントラクトの技術を使うことで、「あらかじめ設定した条件を満たした場合に、特定のプログラムを自動的に実行する」ということが可能になりました。改ざんや捏造が実質的に不可能なブロックチェーンと、スマートコントラクトによって、管理者による管理や承認がなくても不正のない取引ができます。
平等・公平なサービスの提供が期待できる
中央集権的な管理者がいないということは、その管理者による恣意的な操作とも無縁。つまり、サービス提供者の判断によって、突然サービスを停止されたり、ログインを拒絶されたりという可能性がなくなるのです。その結果、誰もが平等かつ安定的にサービスを利用できるようになります。
理想的なクリエイターエコノミーを実現できる
クリエイターエコノミーとは、クリエイター自身がデジタルパフォーマンスによって報酬を得るとともに消費者にもなるという、双方向の経済圏を指します。
Web 3.0 では、中央集権的な管理者がいなくなりますから、クリエイターとユーザーが直接つながる、いわば「産地直送」が可能です。そのため、各種デジタルコンテンツを作成・提供するクリエイターにとっては、好ましい環境が用意されることになります。
現在 Web 3.0 が活用されている分野
ブロックチェーンベースの Web 3.0 は、すでにさまざまな分野で利用され、ユーザーを増やしています。その例を、いくつか見ていきましょう。
・ゲーム市場
ゲーム市場では、「ブロックチェーンゲーム」「NFT ゲーム」などの名称で、多くのサービスが提供されています。プレイするだけでなく、ゲーム内通貨を使ってアイテムの売買をしたり、そこで得た収益を暗号資産(仮想通貨)に交換したりということも可能です。
・音楽市場
2021 年、音楽市場ではストリーミングによる視聴が、グローバル収益の 65 %を占めるまで成長したという発表がありました(IFPI「Global Music Report 2022」より)。その一方で、アーティストの収益配分が少ないという問題は放置されたままの状態でした。
しかし、 Web 3.0 ストリーミングプラットフォームの登場によって、公正な収益配分を確実に行い、アーティストファーストの環境を構築できることが期待されています。
・小売・EC業界
小売・EC 業界にも、大きな変化が訪れることが見込まれています。Web 3.0 によって、すべての消費者が参加できるプラットフォームが構築されると、メーカーから販売店、消費者まで含めたコミュニティが誕生。そこでは、製品開発や販売に関するアイディアが創出・共有され、価値あるものへの投資が生まれる可能性もあると期待されています。
・アニメ、漫画市場
アニメ業界では資金調達のために、長らく制作委員会方式がとられてきました。この方法には、出資リスクを軽くできるメリットがある反面、スポンサーの意向が作品制作に大きく反映。クリエイターの自由度や報酬が制限されるというマイナス面もありました。
ですが、Web 3.0 なら、クリエイターやファンも参加する DAO(分散型自律組織)を作り、そこで投資や利益の分配を行うことができることが大きなメリットとなりそうです。
Web 3.0 と暗号資産(仮想通貨)、メタバースとの関わり
Web 3.0 はブロックチェーン技術を活用するため、暗号資産(仮想通貨)とは高い親和性を持っています。また、仮想空間であるメタバースも、Web 3.0 における重要なプラットフォームになるとみられています。
Web 3.0 では暗号資産(仮想通貨)が決済の主流
Web 3.0 では、暗号資産(仮想通貨)のブロックチェーンをベースにサービスが構築され、報酬や対価の支払いはベースになっている暗号資産(仮想通貨)でというのが定番になります。続いては、Web 3.0 に関連する、主な暗号資産(仮想通貨)をご紹介します。
・イーサリアム(ETH)
イーサリアム(ETH)は、分散型アプリケーション(DApps)の開発プラットフォームであり、ビットコインに次ぐ時価総額を持つメジャーな暗号資産(仮想通貨)です。 DApps は、決済や手数料の支払いに利用されています。
・ベーシックアテンショントークン(BAT)
ベーシックアテンショントークンは、イーサリアム(ETH)のトークン規格を使って作られた暗号資産(仮想通貨)であり、イーサリアム(ETH)のチェーンを使った各種のサービスで利用可能です。また、Web 3.0 ブラウザである Brave では、クリエイターへのチップなどに利用されています。
・ポルカドット(DOT)
ポルカドットは、新たなブロックチェーンを低コストで開発可能な「Substrate ブロックチェーンフレームワーク」を提供しています。ここで作成されたブロックチェーンは、ポルカドットとの相互運用性を持ち、さらに既存のほかのチェーンとの互換性を持たせることも可能です。
・アイオーエスティー(IOST)
アイオーエスティーは、 PoB というコンセンサスアルゴリズムを採用して、高速な取引ができるのが強みです。また、この暗号資産(仮想通貨)のチェーン上で作られる DApps は、開発環境に JavaScript を採用しているため、開発しやすく参入のハードルが低いという特徴もあります。
メタバースが Web 3.0 の受け皿になる
メタバースとは、自分の分身(アバター)を使って、コミュニケーションを楽しめる仮想空間のこと。Web 3.0 の世界ではコミュニケーションだけでなく、データや情報の受け皿としての役割も帯びてきます。
また、メタバースにおいては現実世界と同じように、さまざまな商品やサービスが取引され、その決済手段として暗号資産(仮想通貨)が使われることになります。
Web 3.0 の今後、将来性は?
まだまだ一般には広く普及しているとは言い難い Web 3.0 ですが、これまでご紹介してきたように、すでにさまざまな分野で多くのサービスが開発され、その可能性が有望視されています。
では今後、Web 3.0 はどのような形で進化していくのでしょうか。その将来性について考えてみます。
組織の DAO 化が進む
中央集権的な管理者を持たない Web 3.0 では、従来の企業のようなトップダウンではなく、ブロックチェーンの参加者による投票による意思決定が行われる「分散型自律組織」になるとみられています。
居住地や国籍に関係なく優秀な人材を集めることができ、メタバース上にオフィスを設ければ社屋もいらず、社員の増減にも際限なく対応可能に。こうした動きが加速し社会に広がっていけば、やがて現実社会でも組織の分散化が起こる可能性があります。
国家が Web 3.0 に興味を寄せ、動いている
Web 3.0 に注目するのは、企業だけではありません。各国政府も国の方針として、 Web 3.0 を見据えた政策を摸索しています。
例えば日本では、 2022 年 6 月に閣議決定された、いわゆる「骨太の方針」の中で、 Web 3.0 の推進を図る環境整備の検討が明記されていますし、デジタル庁ではより具体的な施策として、重点計画が示されています。
こうした国による各種の施策が法整備とともに進んでいけば、民間企業によるサービスの充実や技術開発が、より加速することが期待できます。
Web 3.0 には消極的な意見もある
多くの人々が Web 3.0 を歓迎し、数々のプロジェクトを進め、その将来に希望を見いだす中で、懐疑的な声があるのも見逃せません。
注目すべき数々の事業を成功させているイーロン・マスク氏は、 Web 3.0 やメタバースは「ただのバズワードだ」と発言。 X(旧Twitter)の創業者であるジャック・ドーシー氏は、「Web 3.0 が普及しても、利益を得るのが大手企業からベンチャーキャピタルとそのリミテッドパートナー(投資者のこと)へ代わるだけで、ラベルの違う中央集権的な存在になるだけだ」と話しました。
Web 3.0 は注目を集める存在ではあるものの、将来性についてはまだ見極めがつかない部分が大きく残されているといえそうです。
これから暗号資産(仮想通貨)で投資するなら Web 3.0 に注目!
NFT やメタバース、中央集権的な管理体制とは対極的な DAO 。 Web 3.0 によるこれらの要素は、ネット社会に変革をもたらすだけでなく、新たな経済圏を創出することにもつながります。そうなれば、これまで投機的に扱われることの多かった暗号資産(仮想通貨)が、現実的な通貨としての役割を強めていくことでしょう。
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